LHの役割とは
前回に引き続き(FSHの役割とは)ホルモン物質のお話を続けたいと思います。
FSHの仲間、LHは身体全体に影響しないのでしょうか?
具体的にどのように働いて、どのように身体は反応しているのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
LHはFSHと同時に脳下垂体で作られます。
血液を介して全身に行き渡り、卵巣に到達した分だけが卵巣で働きます。
詳しく見てみよう!LHの働きとFSHとの違い
LHは黄体形成ホルモン、もしくは黄体化ホルモンとも呼ばれます。
FSHと同じくゴナドトロピンというホルモン物質の一種で、
FSHと同時に卵巣に働きかけて卵胞の成熟させるのですが、
FSHとの大きな違いは「卵巣そのものにも働きかける」ことです。
分泌量は視床下部から放出されるGnRHによってコントロールされており、
卵胞が成熟したタイミングで大量に放出されて排卵をうながします。
排卵後にも少量の分泌が続いて卵胞が抜け落ちた場所で黄体化を推し進める、
そこがLHとFSHの最も大きな違いでしょう。
また、FSHはいったん分泌されたら半減期まで3時間から4時間はありますが、
LHはわずか20分で半減期を迎えます。
代謝されるスピードにも性質の差が表れているのです。
代謝が早いからこそ大量に分泌できる、とも考えられるかもしれません。
LHに卵巣が応答して排卵が起こり、さらに黄体化が進むと
プロゲステロンが分泌されて身体全体が妊娠を維持できる状態になっていきます。
受精卵が着床すればそのままプロゲステロンが活躍し続け、
着床がなければ子宮内膜が崩れ落ちて排出されます。
LHが働くのは卵巣だけ?
視床下部から脳下垂体へ、脳下垂体から分泌されたLHが
卵巣に働いてエストロゲンやプロゲステロンが分泌され
全身へという経路で影響が波及していくわけですが、
肝心のLHは卵巣以外では機能しないことになっています。
なぜなのでしょうか。
以前、ホルモン物質はターゲットとなる器官が決まっていると書きました。
これはホルモン物質自体にそのような情報が盛り込まれているのではなくて、
卵巣の方にLHの受容体があるからです。
ちなみに受容体細胞は男性にもあります。
男性の場合は精巣の「ライディッヒ細胞」、
女性の場合は卵巣の「顆粒膜細胞」がLHに反応するそうです。
LHは閉経後にも分泌が続く
女性ホルモンと性腺刺激ホルモンはいっしょくたに認識されがちです。
私だけかもしれませんが、日本語にした時に「性」の文字がついているだけで
女性ホルモンの仲間と思い込んでしまったりして。
しかし、LHやFSHは脳下垂体から分泌される物質ですから、
厳密には性ホルモンではありません。
例えば卵巣が機能を終えてもLHの分泌は続きます。
むしろ閉経後の方が子どもの頃より分泌量が増えるほどです。
もし子どものころから高値を示したとしたら
それだけで異常が起こっている証拠になります。
10代、20代、30代の女性についても
LH異常値は病気などを示すサインになるので、
定期的にホルモン検査を受けておくことをおすすめします。
0コメント