不妊治療のホルモン治療
ホルモン治療は「あなた」を変える・・・かもしれない
人類は地球史上まれに見るほど貪欲な生命体です。
その証拠に、ヒトは大地を覆い、数多の死を退け、
自然には生まれなかった子を次々と成しています。不妊治療は神の領域を侵犯する
行為であると言った人々がいました。
しかし、「それでいいの?」「本当にいいの?」「大丈夫なの?」とためらう恐れは、
絶望の中に一筋の光を見た私のような人間にとっては取るに足らないものです。
「副作用が出るかもしれないけれど子どもを産める可能性を与えてくれる薬」があるなら、
それは手を伸ばしますよね。
なぜなら、リスクの先を私自身が経験していないからです。
なぜなら、生きるためには希望が欠かせないからです。
だけど、治療の先に妊娠と出産があるなら、少なくとも、
ホルモン療法の副作用として自分に起きる可能性があること、
周囲に与えるかもしれない影響については知っておくべきでしょう。
それでどう備えるという意味ではありません。ただ認識していただきたく思います。
不妊治療でおなじみのホルモン療法について
不妊治療では頻繁に登場するホルモン治療は、
エストロゲン、プロゲステロンなどの女性ホルモンや、
プロラクチン、また、これらの分泌を左右する性腺刺激ホルモン放出ホルモン、
性腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、
甲状腺ホルモンなどを補充したり、分泌を促す、あるいは阻害する薬剤を投与したり、
あるいはホルモン物質の過剰、欠乏状態を招く原因に対してアプローチする
医療行為を意味します。
ホルモン物質を「補充する」「分泌を促す」と、言葉で言ってしまえば
簡単なようですし、治療として行う工程も治療を受ける本人としては
薬を飲むだけです。気軽なようにおもえてしまっても不思議はありません。
ここまでに列挙したホルモン物質の中には、
脳の一部、視床下部と下垂体から分泌されるものもあります。
そして、その分泌を促すということは、脳に作用する薬を身体に
取り入れるということです。
例えば、高プロラクチン血症の治療に用いられる
「ドーパミン作動薬」のひとつは、下垂体のドーパミン受容体に働きかけて
プロラクチンの過剰分泌を止めます。
パーキンソン症候群、乳汁漏出症、末端肥大症、下垂体性巨人症などの
治療にも有効性を示すほど強力な薬剤として知られており、
長期的な副作用は知覚異常、幻覚、陶酔感、躁鬱、脳障害、精神病症状、
自殺傾向にまで至ると言います。
効果と副作用は表裏一体です。作用だけ得られて副作用がない薬などありえません。
脳に作用してホルモンバランスを意図的に調整する薬は脳を変えるのです。
考え方や、性格、ひいては人間性にまで変化をもたらす可能性を
認識するべきでしょう。
ホルモン治療を必要とする方はリスクとの付き合い方にご注意を
ホルモン治療を必要とする女性については、リスクを完全排除することはまずできません。
リスクと上手に付き合う不妊治療を、医師や夫とよくよく話し合って
計画するようになさってください。
リスクを踏まえてコントロールすることが大切なのです。
不妊治療中のみなさま、これから受けようか検討なさっているみなさま、
皆様が悔いのない治療に進まれることを願います。
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