不妊をまねく薬、リスクはどうしても伴う
薬剤性高プロラクチン血症vol.13-抗精神病薬06
不妊症を招く薬剤のお話第13弾、抗精神病薬の続きをレポートします。
今回ピックアップのお薬は抗精神病薬の中で
「アリピプラゾール」「オランザピン」「クエチアピン」です。
いずれも薬剤性高プロラクチン血症を招く恐れがあるので、
妊娠を希望するのに処方された時には
医師や薬剤師に相談するようになさってください。
なお、薬剤性高プロラクチン血症の多くは原因となる薬剤の服用をやめれば
改善するそうです。
私の知っている神戸ARTレディスクリニックのホルモン検査と
排卵異常の解説ページでも書かれていました。
では、本題へ。
アリピプラゾール(エビリファイ)
用途:統合失調症、双極性障害(躁鬱病)、うつ病、
小児期自閉スペクトラム症の治療に使われるお薬です。
また、認知症などで衝動をコントロールできなくなった患者にも用いられます。
薬理的にはドパミンD2・D3受容体部分作動薬またはパーシャルアゴニストと呼ばれ、
ドパミンの脳内分泌量に応じて阻害作用と活性化作用が
切り替わる便利な働きを持ちます。第三世代の非定型抗精神病薬のひとつ。
副作用:従来の抗精神病薬に比べると副作用のリスクは抑えられています。
ふるえ、こわば、眠気、効きすぎ、体重増加、高プロラクチン血症などの確率は減少。
その一方でアカシジアと呼ばれる症状(じっとできない、そわそわ感)は
頻度が高くなったとのこと。
この薬を服用してのどの渇き、食欲亢進、脱力感、もうろう感、
ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、身体のこわばり、口周りのけいれん、
じんましん、手足のしびれ、めまいなどを感じたら、お薬が身体にあっていない、
副作用が出ている証拠です。
すぐにお薬の服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
抗精神病薬を他に服用した経験のない方には副作用が出やすいという注釈があります。
参考:http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179045.html
参考:https://cocoromi-cl.jp/knowledge/psychiatry-medicine/aripiprazole/about-aripiprazole/
オランザピン(ジプレキサ)
用途:ドパミンD2受容体遮断薬です。
ただし、この薬についてはほかにセロトニン、アドレナリン、ヒスタミン、
ムスカリンなどの受容体にも作用します。様々な用途に活躍しています。
統合失調症、双極性障害(躁うつ病)で停滞した心身の活動を改善する効果が期待できます。また、抗ガン剤治療の吐き気改善のために処方されることもあります。
催吐作用が強い抗がん剤を用いる際に他の制吐剤と併せて予防的に処方されるお薬です。
副作用:副作用のリスクを抑えた非定型抗精神病薬であり長期服用されるケースが
多い薬とされてはいますが、脂質代謝異常や体重増加、血糖値上昇、
高プロラクチン血症の発生率については従来の抗精神病薬と変わらないようです。
このお薬を服用してのどの渇きを感じた時、また、だるさ、異常な発汗、
ふるえ、こわばり、ねむけ、もうろう感、そわそわ感などが出たら要注意です。
早急に医師、薬剤師に相談しましょう。
参考:http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179044.html
参考:https://cocoromi-cl.jp/knowledge/psychiatry-medicine/olanzapine/about-olanzapine/
クエチアピン(セロクエル、ビブレッソ)
用途:統合失調症、抑うつ、躁状態、強い緊張、不安などに対応するお薬です。
ドパミン・セロトニン受容体遮断薬、または拮抗薬と呼ばれています。
作用的には複数の種類のホルモン物質受容体を遮断するお薬です。
そのため多受容体作動薬にも分類されます。妄想や幻覚はドパミン過剰分泌によって
起こるもので、遮断薬でドパミンの作用を抑えるとそれらの症状は改善します。
非定型抗精神病薬のひとつです。
副作用:第二世代ということで、従来の抗精神病薬に比べると
高プロラクチン血症による生理不順、乳汁分泌、また、ふるえやこわばりのリスクは
低減されています。
血糖値の上昇、ねむけ、めまい、たちくらみ、口の渇き、便秘、体重増加、
神経過敏は比較的起こりやすい副作用です。飲み初めの立ち眩みで転倒などの事故が
起こる場合もありますので、服用時は必ず座るようにしましょう。
心身の変調が起こったらすぐに医師、薬剤師に相談する必要があります。
参考:http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179042.html
参考:https://clinicalsup.jp/drugslist/pc/00062960.html
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今回ご紹介したように、第二世代、第三世代の抗精神病薬では
高プロラクチン血症になるリスクが低くなっているものもありますが、あくまで
「比較的低くなっている」だけです。
脳に作用する薬剤を使用するからにはどうしてもリスクとは
付き合っていかなければならないということを、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。
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