薬剤性高プロラクチン血症の原因を考える
薬剤性高プロラクチン血症vol.14-抗精神病薬07
シリーズ化してしまった薬剤性高プロラクチン血症の原因となるお薬シリーズ。
抗精神病薬のうち、ピモジド、ペロスピロン、リスペリドンをレポートします。
相変わらずの単純なまとめです。
よろしかったらササッと目を通していっていただけたら幸いです。
一か月ぶりなのでまず再確認ですよ。
薬剤性高プロラクチン血症は、病気治療などで処方された薬剤が原因で
プロラクチンというホルモン物質が過剰に分泌されたり、
過剰に反応したりする病気のことです。
原因となるお薬の服用をやめればおさまります。
薬剤性高プロラクチン血症は不妊症のもとになりますが、恐れる必要はありません。
どんなお薬が「薬剤性高プロラクチン血症」の原因になるのか
知っておくことが大切です。
私の知っている神戸ARTレディスクリニックのホルモン検査と
排卵異常の解説ページも参考にしてみてください。
では本題へ。
薬剤性高プロラクチン血症の原因につながる
ピモジド(オーラップ)
用途:統合失調症や小児自閉症の治療に用いられる神経遮断薬です。
脳の働きを調節して強い不安や緊張感を解消します。
また、思考と感情のコントロールを助ける効果も期待できます。
小児自閉症の場合は、自発性を高めたり、情緒を安定させたり、
コミュニケーションによる意思疎通を助けたりする目的でピモジドが処方されます。
従来型の抗精神病薬です。
副作用:心臓病やうつ病、パーキンソン病、レビー小体型認知症については
この薬の投与で悪化する恐れがあります。
よくある副作用としては手の震え、身体のこわばり、眠気、口の渇き、目のかすみ、
よだれ、尿が出にくくなる、などがあります。そのほかには
悪性症候群(体の硬直、急な発熱、発汗、頻脈、震え、意識障害など)、
重い不整脈、けいれん発作、無顆粒球症、白血球減少、静脈血栓症、肺塞栓症、
錐体外路障害(指や手足のふるえ、身体のこわばり、目の異常運動など)、
吐き気、生理不順(高プロラクチン血症)、女性化乳房などがあります。
薬剤性高プロラクチン血症の原因につながる
ペロスピロン(ルーラン)とは
用途:統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方に効果的な治療薬です。
統合失調症のほかにも、強い緊張感、不安、抑うつ、躁状態など、
さまざまな精神症状を抑えるためにも用いられる
ドパミン・セロトニン受容体遮断薬(セロトニン・ドーパミン拮抗薬:SDA)です。
副作用:ドパミンとセロトニンを遮断するため、
多くの副作用を引き起こす恐れがあります。ただし、この薬剤は副作用のリスクを
抑えるために開発された第二世代の非定型抗精神病薬であるため、
従来型の薬剤よりは安全であると言われています。
高プロラクチン血症の頻度は従来型の抗精神病薬に比べると低くなっているようです。
また、立ち眩み、めまい、眠気、口の渇き、体重増加、不整脈、便秘や、
尿が出にくくなるといった副作用が比較的多いそうです。
多量の服用、長期服用で、遅発性ジスキネジア(パーキンソン病様の症状が起こる病気)の
リスクが高まります。
重い副作用としては悪性症候群、遅発性ジスキネジア、
麻痺性イレウス(食欲不振、吐き気、嘔吐、激しい腹痛、ひどい便秘、おなかが膨れる)、
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SAIDH:のどの渇き、だるさ、頭痛、吐き気、けいれん、意識を失う)、
横紋筋融解症(血尿や歩行困難が特徴)、無顆粒球症、高血糖、
糖尿病性昏睡、静脈血栓症などがあります。
そのほかには錐体外路症状、体重増加、発疹、女性化乳房など。
リスペリドン(リスパダール)
用途:統合失調症や、小児期自閉スペクトラム症(自閉症、アスペルガー症候群)の治療に
用いられる非定型抗精神病薬のひとつです。
強い興奮、不安、緊張、混乱、パニック、抑うつ、躁状態など
さまざまな精神症状に対して応用が利く薬として流通しています。
こちらもセロトニン2とドパミン2受容体の遮断薬で、
分類は「セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)」
副作用:起立性低血圧、つまり、立ちくらみを起こす人が多く、
服用時の注意点として必ず確認されます。
体重増加、高プロラクチン血症と生理不順、乳汁分泌、女性化乳房など、
セクシャリティに大きな弊害のある副作用が指摘されているので
注意したいところです。急激な低血糖によって気を失ったり、
意識障害を起こしたりといった副作用の報告もあるようです。
悪性症候群、遅発性ジスキネジア、麻痺性イレウス、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、
肝臓の障害、重い不整脈といった命を脅かす副作用については、
頻度はそれほど多くないとのこと。ただし、息苦しく感じたり、急激な発熱などが
服用後に現れたらすぐに病院へ連絡し、指示に従いましょう。
定型抗精神病薬はいわゆる従来型、もっとも古いタイプの抗精神病薬です。
ある程度効果があることが分かって認可されているはずですが、
主目的の治療効果と引き換えにする副作用のリスクが大きすぎるとして
第二世代の非定型抗精神病薬が作られました。
しかし、こうして見渡してみると第二世代も実質的には副作用のリスクは
それほど軽減できていないような気がします。
今回の最後のお薬、リスペリドンなんかもそうですよ。
お薬の情報をまとめたデータベース(製薬会社寄りの情報サイト)では
「比較的錐体外路症状が副作用で起きるリスクは低い」とされていますが、
実際にこのお薬を患者に処方する町医者からは
「(錐体外路症状・高プロラクチン血症を含む)ドパミン系の副作用がやや多い」
という指摘が出ています。
人にはそれぞれ立場があります。
製薬会社に気を使う人、患者と向き合う医師、どうすればいいか
分からない迷える子羊のような患者。
私たち患者の場合は、できる限り多くの正しい情報を頭に叩き込み、
医師が与えてくれる手がかりを取り逃さないようにするのが、安
全性を高める道なのだと思うのです。
もしあなたが精神疾患を患って抗精神病薬を処方されそうになったら、
医師にこう尋ねましょう。
「私は将来こどもが欲しいと思っています。そのお薬は妊娠に影響がありますか?」と。
こちらのリストは福岡県薬剤師会のレポートに準拠します。参考はこちら。
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