不妊症と年齢のこと

知識を蓄えよう!「不妊症」を理解して先に進む

避妊せずに夫婦生活を送っていても一定期間妊娠しなければ誰もが不妊症。

その「一定期間」は医学界でもさまざまな立場があって、日本では2年間とされてきました。今でも2年間という立ち位置を守っている団体が少なくありませんが、世界的な潮流としては1年間、ないしは半年間とする傾向が顕著になってきているところです。

特異的な要因があろうがなかろうが「妊娠できていない」状況によって不妊症と判定されるわけですから、年々その割合が高くなっていくのは当然なのかもしれません。

なぜ2年間から半年間までという幅があるのかというと、女性が妊娠できる年齢には上限があるからです。

不妊症の可能性がある女性が二人いて、ひとりが二十代前半、もうひとりが三十代後半である場合、治療にかけられる時間的猶予は前者が10年以上であるのに対して、三十代後半の女性は数年間程度しか残されていないのです。

若い女性ならば2年間自然な変化を見守る猶予を取れるでしょう。

しかし、残り時間が限られる状況で行う不妊治療はひとつひとつのステップをスピーディーに行う必要があり、省略できるものをすべて取り去って、いきなり体外受精から始めるケースも増が増えているのだとか。私は、できるならば不妊症と不妊治療についてしっかり理解したうえでその時を迎えたいと考えます。

不妊症は年齢とともに症状が進んでしまう

女性ホルモンの分泌量で見ると、ピークは20代から30代前半です。30代後半からは女性ホルモンの分泌量が低下しはじめ、「妊娠しやすさ」を示す「妊孕力(にんようりょく)」については35歳から激減します。

39歳以降はさらに低下が顕著で、生殖補助医療を利用しても出産に至る割合は極めて少なくなるそうです。生殖補助医療は不妊治療のなかで公的助成の対象となる高度な位置づけにある治療方法で、体外受精と顕微授精を指します。

体外受精は卵子と精子を採取し、人の手で受精させたうえで母体に移植する方法です。採卵しなければならないため身体への負担がどうしても大きくなるので、本来であればタイミング方や人工授精などを経てステップアップしていき、最終手段として踏み込むのが通例でした。

最初から「体外受精を」とすすめる医師が増えてしまった現状を悲しく思います。

性教育を振り返ってみる

そもそも妊娠しにくい不妊症の女性が、自らをそれと自覚しないまま、社会的な自分の「居場所」を守るために「産み時」を先延ばしにする。それが「よくあること」で、なおかつ「しょうがないことだ」と言われる時代を私たちの世代は生きてきたのです。

学生時代の保健体育では、『女性の身体は成熟すると生理が来る。男性は精通し、男女が交われば妊娠して子どもができる。だから異性交遊には責任を持つようにし、みだりに性行為を行わないようにしましょう』という、その程度の内容しか子どもには語られないものでした。ふと思い出すのは、教師が非常に気まずそうに保健体育のページを指定し、見出しを読み上げる程度で「あとは各自読み込んでおきなさい」と授業を終わりにした光景です。

性教育の部分はその後テストにも出ませんでした。

性に関しては自然に任せておけばそのようになるのだろう。だから詳しく教える必要がないんだろう。そんな風に思い込んだのを、よく覚えています。

日本の不妊治療業界の主役は30代から40代。まさに私と同世代の女性たちです。ただしい知識を得られる場所に自分から出ていかなければ、このまま時が過ぎるのとともに世間からも忘れられていくのでしょう。

30代からの不妊治療や検査のことブログでつづる

30代不妊治療について思うこと。不妊治療を知り、妊活から体外受精や顕微授精についてまで、自分のペースで調べていきます。