不妊治療の中心世代は30代から40代
不妊治療の中心世代は30代から40代、その苦しみ
日本の不妊治療は現在30代から40代の女性が主役です。
性教育が充実していなかった世代であり、
バブル崩壊後の社会経済に振り回された世代であり、
女性の生き方が劇的に変化した中心世代でもあり、
いわば日本社会が作り上げた「妊娠難民」世代なのだろうと私は考えています。
最も出産に適した時期を逃してからようやく
「自然妊娠の限界」が身近に迫っていることに気付き、
慌てて不妊治療を始める。これが30代後半でよくあるパターンです。
そして40代。すでに生殖補助医療の成績で見ても厳しい状況に陥っている年齢です。
不妊治療は回数を重ねれば成功するというタイプの治療ではないうえ、
40代に入ると1回あたりの成功率も低くなっています。
肉体的、精神的負担は、治療を経験していない方の想像を超えるものになるでしょう。
金銭的負担も治療内容が高度になればなるほど高くなるので、
経済的にも圧迫されることになるかもしれません。
いつか子どもをと望むなら婦人科検診を受けるべき
社会に出れば働くことを求められ、家に帰れば子を産むことを求められる。
妊娠すれば働けないと機会を先送りにするうち適齢期を逃し、
社会の矛盾に身も心も引き裂かれる。
このように感じているのは私だけなのでしょうか?
女性も働く時代であるのはいいことです。
しかし、キャリア形成の大事な時期がちょうど出産適齢期で、
男性と同じようにステップアップしようとすると
出産できる体制を整えるのが30代になります。
出産から育児を経て社会復帰しようとすると、
保育所不足という社会問題が立ちはだかること。
いったんキャリアが途切れると、どうしても男性より
キャリアアップが遅れることなど、少子化対策をと国が謳っている反面、
働く女性が子どもを産むことを拒むような社会の構造は変わりません。
いざ子どもを設けようとしたら自分が不妊症。
女性として五体満足なのだから、その気になればいつでも子どもをつくれる。
避妊しなければ妊娠する、それが当たり前だと思っていただけに、
しばらくの間は鬱になりそうなほど落ち込みました。
忙しさを理由に婦人科検診を先延ばしにしてきた女性は、
できるだけ早く婦人科検診を受けることをおすすめします。
「必要になったらでいいや」と思っていらっしゃるかもしれません。
私もそうでしたから、よくわかります。
ですが、いざとなった時では遅いのです。
医師が教えてくれた不妊治療との向き合い方
私が現在通っているレディースクリニックに転院してきたのは、
ちょうど治療に行き詰っている時でした。
「身体と心の環境を整える治療が優先」という考え方のクリニックで、
そこで私はこう考えるようになりました。
子どもを産みたいとしても「不妊治療のために生きる」
のは間違っているのではないか。
いやいや不妊治療を続けても意味がない。
誰も他人に「不妊治療を受けろ」と強制はできない。
ましてや、人生を犠牲にしてまで続けろなどとは誰にも言えない。
不妊治療に関しては、すべては自分たち夫婦の意思でコントロールするもの。
不妊治療を無理やり続行しても身体と心が追い付かないなら、
立ち止まるのも勇気、進むのも勇気。
すべては「自分の意思」次第なのだと。
生殖補助医療は希望の光です。
大切なのは、治療を継続できるように体力をつけ、
心の健康を維持し、前向きであること。
精神的につらいならば不妊治療よりも心の回復を優先すべきなのでしょう。
肉体的に追い詰められたならば、いったん治療をお休みして
体力を向上させるべきなのでしょう。
不妊治療を続けるかどうか、根本的に見直す必要もあるかもしれません。
「不妊治療は自分の意思で始めたから」などと自分を縛らず、
自由に、臨機応変に対処する意識を持ち続けよう。そう思いました。
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