ホルモン検査で見るホルモン物質の名前について
ホルモン検査では性ホルモン(女性ホルモン)に分類されない
甲状腺ホルモンなどもチェックします。
エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、
脳下垂体ホルモンと併せて、改めて整理しておきましょう。
まずはホルモン検査の対象になるホルモン物質を放出器官ごとに分類します。
・視床下部から出るGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)
・脳下垂体から出るFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)。
これらはゴナドトロピンの仲間です。
視床下部から脳下垂体にGnRHが働きかけて分泌バランスを調整します
・卵巣からはエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)。
卵胞からAMH(抗ミュラー管ホルモン)が分泌されます
・甲状腺から出るサイロキシンとトリヨードサイロニン
女性向けのホルモン検査ではこれらのホルモン物質がセットのように
扱われているため、すべてが女性ホルモンだと勘違いしてらっしゃる方も
いるかもしれません。しかし、厳密に女性ホルモンと言えるのは
エストロゲンとプロゲステロンだけだったりします。
性ホルモンとしての各ホルモン物質の働き
次回は各ホルモンの全体的な機能に話を広げていきたいと思っていますが、
ここでは女性機能に限定して各ホルモンの働きを段階的に整理します。
ホルモン物質には順位のようなものがあります。
軍隊に例えるならば、視床下部が総司令官。脳下垂体が司令官。
卵巣や卵胞が隊長といったところでしょうか。
総司令官は卵巣や卵胞から放出されるホルモン物質の量によって
「卵胞がどの段階にあるか」フィードバックを受けています。
卵巣から放出されるエストロゲンの量は排卵期前にピークを迎えます。
視床下部はこの量から判断して卵胞の成長段階を見極め、
GnRHを調整して脳下垂体にFSH、LHの分泌量を増やす指令を下します。
卵胞が成長しきったところでFSH、LHの分泌量は
急上昇して排卵が起こるのですが、
現代医学ではこのピークから排卵日を予測しているのだそうです。
排卵が起こると卵胞を刺激する必要がいったんなくなるため、
エストロゲンの分泌量は減少、代わりに黄体ホルモンのプロゲステロンが増えます。
プロゲステロンは子宮内膜をふかふかに育てて卵子の寝床を整えます。
卵巣から放出された卵子が受精することなく流れ去っていくと、
だいたい28日から35日周期で再び月経が始まり、
分厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちてリセットされるのです。
性別とは無縁に存在する甲状腺ホルモンがどうかかわってくるかと言うと、
甲状腺ホルモンは脳の働きや全身の代謝を大きく左右します。
つまり、甲状腺機能に異常があると性腺刺激ホルモンが
うまく分泌されなかったり、機能しなかったりすると考えられるのです。
ちなみに、プロラクチンは妊娠が成立した時に脳下垂体から放出され、
乳汁(つまりおっぱい)を分泌させます。
もし妊娠してもいないのにプロラクチンが確認されたら、
それだけで何かしら異常な状態というわけです。
ホルモン物質のお話は調べれば調べるほど複雑で混乱しそうになります。
みなさんにも読みにくい形になっているかもしれませんが、
もう少しお付き合いいただけたら幸いです。
次はホルモン物質をひとつひとつピックアップし、
全体的な役割にも目を向けていこうと思います。
ホルモンの検査って?
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