女性ホルモンと「高プロラクチン血症」
女性らしい体つきの最たる特徴、ゆたかな乳房は
主にエストロゲンの作用によってつくられています。
この、発達した乳腺から乳汁(おっぱい)を分泌させるのが
プロラクチンというホルモン物質です。
そのため、プロラクチンは乳腺刺激ホルモンのほかに催乳ホルモン、
乳汁分泌ホルモン、黄体刺激ホルモンなどとも呼ばれます。
黄体刺激と名がついているのは、卵胞が放出された後の卵巣の黄体を維持し、
次の月経周期に入るのを押しとどめる働きをするからです。
不妊症検査のホルモン検査でプロラクチン高値が確認された場合、
いったいどのような可能性が考えられるのでしょうか。
最も多いのは脳下垂体にできた「腫瘍」
高プロラクチン血症と診断される時、最も多いのが
「プロラクチノーマ」という脳下垂体の腫瘍なのだそうです。
プロラクチノーマはその名の通りプロラクチンを作り出す腫瘍です。
腫瘍を取り除けば高プロラクチン血症も治まるはずですが、
手術による治療はあまりおすすめできません。
第一の選択肢は薬物療法です。
プロラクチノーマは指定難病になっています。
いかに難しい病気か、それだけでなんとなく想像していただけるかと思います。
次に、向精神薬などを使用した治療中であるケース。
うつ病治療などで男性が高プロラクチン血症になった
症例が報告されているので、女性についてはなおさら薬の影響を
受けやすいと思われます。
もし精神科や心療内科で治療を受けることを勧められたら、
副作用についてきちんと納得したうえで前に進むようにしてください。
プロラクチンが多いとどうなるの?
哺乳類はすべてプロラクチンを分泌しているといいます。
しかし、ヒトにおいてはまだまだプロラクチンの
全容解明にはほど遠い状況なのだとか。
現時点で分かっているのは、プロラクチンが乳汁分泌のスイッチになること。
黄体を刺激し、維持する働きがあることだけです。
女性についてこれがどういう意味を持つか。
それは非常に深刻です。
まずは、脳下垂体ホルモンがうまく分泌されなくなり、
月経や排卵に障害が起こります。
月経も排卵もないということは、つまりどうやっても妊娠できないということです。
妊娠してもいないのに黄体が刺激され続けるため、
卵胞が成熟しないからです。
不妊治療で体外受精するにしても、成熟した卵子を採取する必要があります。
卵胞が成熟しない状況では不妊治療すらできないのです。
プロラクチン過剰症が続くとやがて頭痛や視力障害、視野障害が起こります。
乳汁が分泌されるようにもなったりして、不快感と戦う日々になるでしょう。
これは男性にも見られる症状で、
女性の症状に加えて性欲減退、EDなども起こります。
月経周期が乱れがちな女性は早めにホルモン検査を受けておくべきです。
将来子どもを設けたいかどうかではなく、自分を知るために。自分自身のために。
また、身体は刻々と変化するもの。過去に検査を受けたことがあるという方も、
数年に1回は状態を再確認することをおすすめします。
高プロラクチン血症の治療は?
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