不妊症と不妊治療、世界の歴史
前回も不妊治療の歴史を調べたのですが、
高度生殖医療ART(顕微授精・体外受精)の情報ばかりのように思ったので、
人工授精その他に視野を広げてみました。
日本では江戸時代のころなんて、不妊症はすべて女性の責任と考えていたと
言いますよね。「3年子なきは去れ」が常識だったそうですから、
無知って残酷です。
ちなみに、江戸時代は1603年から1867年、もしくは1868年のこと。
1867年は大政奉還の年、1868年は戊辰戦争が始まった年で、
どちらを江戸時代の終わりとするかは意見が分かれるところなのだそうです。
このあたり、皆さんは気になりますか?
私が学生の頃は大政奉還までが江戸時代だったと
教科書に書かれていたような……。
●17世紀
17世紀まで、不妊症に対して人類ができるのは神頼みくらいでした。
何しろ病気が感染症で、感染が予防できるという考え方の発見が
19世紀後半になってからですから、生命の誕生なんて当時は
何がどうなっているのかイメージすらできなかったでしょうね。
子授け神社とか、子宝神社とか、日本全国にありますよね。
どんな思いで女性たちは神様に祈ったのか想像すると切なくなります。
●18世紀
18世紀後半、スコットランドで人工授精が始まったそうです。
注入器を使って配偶者の精液を妻の膣に注入したのだとか。
これが1799年のことで、1884年には米国にも広まったと言います。
また、18世紀にはすでに体外受精の研究も始まっていて、
動物を使った実験が盛んに行われるようになっていったようです。
動物って猿ですか?と思いきや、ウサギを使っていたそうです。
体外受精胚移植の初成功例は1978年のイギリスで記録されました。
1983年には凍結胚を使用したARTに成功、1992年には顕微授精の成功。
翌年には無精子症の男性から精巣内精子を採取し、その精子を用いた顕微授精が成功。
●20世紀の日本
ちなみに。日本で人工授精による子どもが初めて生まれたのは
1949年とされています。
それも、非配偶者間人工授精(AID)だそうです。
無精子症の夫を持つ女性にとっては、それこそ飛びつきたくなるような
ニュースだったのでしょう。しかし、非配偶者間人工授精(AID)など、
夫婦以外の遺伝子を取り込んだ妊娠にはいくつもの問題があります。
急激に発展する技術は、時として人の感情や倫理観を置き去りにして
世界に拡散します。しかし、技術だけが独走する状況は
決して理想的とは言えないのだと思います。
だけど、悩みがあって、それを解決する方法があるなら手を伸ばさずにいられない、
それもまた人情です。
制度として誰かが道を示してくれるのを待つのではなく、
これからはひとりひとりが考えて、その技術の真の意味を理解するように
努めなければならないのかもしれません。
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