不妊との関係「下垂体腺腫」

下垂体腺腫の多様な症状。不妊症は比較的初期に現れる?

宣言通り、今回は下垂体腺腫の掘り下げ回です。

そもそも頭の構造の中で下垂体がどこにあるのか、

いまいちイメージできなかったりしませんか?

下垂体の場所

下垂体は脳の一部です。脳全体の構造を簡単に解説すると、

脊髄からつながる間脳、間脳の背後に小脳があり、それらに覆いかぶさるように

大脳があります。脳の大部分は「大脳」です。

下垂体はこのうち、間脳に含まれています。

間脳を更に分解すると、上から視床、視床下部、下垂体となっています。

視床と視床下部が斜め後方の中脳、橋(きょう)、延髄、そして脊髄へとつながります。

下垂体は視床、視床下部の流れで斜め下部にぶら下がった形になるので、

そのほかの脳や神経、血管が障害物となって開頭手術が極めて難しい場所です。

頭部を前面から見ると下垂体はちょうど鼻腔の奥斜め上方であり、

経鼻内視鏡の登場によって、脳神経外科の分野は著しく治療できる範囲が広がったわけです。

不妊症の検査は小さな下垂体腫瘍を見つけるきっかけになる

下垂体腺腫と不妊症の関係は神戸ARTレディスクリニックのサイトにある通りです。

ホルモン異常による排卵障害が不妊症の原因になるので、治療が必要となります。

神戸ARTレディスクリニックの「脳下垂体の異常」に関する記述はこちら。

https://www.ivf.co.jp/?page_id=54#A03

ある程度情報を公開してくれている脳神経外科のサイトを見ると分かるのですが、

妊症の検査で行うホルモン検査はかなり小さな腫瘍でも検出できる可能性があります。

脳腫瘍全般の有無を調べるにはたいてい画像検査が用いられますが、

小さな腫瘍は見逃されることが少なくありません。

その点下垂体腺腫はホルモンの数値から「下垂体に腫瘍があるのではないか」と、

絞り込んで次の検査につなげるため、初期の腫瘍、小さな腫瘍でも

発見しやすいと考えられます。

下垂体腫瘍(下垂体腺腫)の多様な症状

●脳腫瘍全体に占める下垂体腺腫の割合

脳腫瘍全体に占める下垂体腺腫の割合は15%だそうです。

※福岡脳神経外科病院のデータです。

●下垂体腺腫の症状

・ホルモン異常を起こすタイプの下垂体腺腫

ホルモン異常を起こすタイプの下垂体腺腫としては「プロラクチン生産腺腫」

「成長ホルモン生産腺腫」「下垂体後葉腺腫」などがあります。

これらの下垂体腺腫はホルモン値に異常をきたす為、

ホルモン異常以外の症状に発展する前に発見できる可能性が高いところが特徴です。

「プロラクチン生産腺腫」の症状は多くの場合女性に現れます。

無月経、乳汁分泌、プロラクチン異常高値などです。

「成長ホルモン生産腺腫」の症状は大人と子どもで異なります。

子どもの場合巨人症あるいは小人症になり、大人では先端巨大症となります。

また、副腎皮質刺激ホルモンが異常生産されることもあり、

そうなると副腎皮質ホルモン(ステロイド)が過剰になるのでクッシング病に

発展するそうです。高血圧や糖尿病を合併しやすいので、治療をおすすめします。

「下垂体後葉腺腫」は便宜上勝手に名付けました。

下垂体後葉に腫瘍ができると抗利尿ホルモンが不足することがあるそうです。

ただし、下垂体腺腫そのものの症状として病的な頻尿などが起こるわけではない、

とも記述があるので、尿量の変化はそれほどはっきりした手がかりには

ならないかもしれません。

・ホルモン異常を起こさないタイプの下垂体腺腫

ホルモン異常を起こさないタイプの下垂体腺腫、

「非機能性腺腫」は、不妊症の検査では検出されないタイプの下垂体腺腫です。

小さいうちは無症状で、大きくなってからは視野の異常、視力低下、

下垂体機能低下症による皮膚の黄変、女性の無月経や男性のEDにつながるとのこと。

結局はホルモン異常を起こさないタイプの良性腫瘍でも不妊症の原因に

なるかもしれないという、救われないお話……。

非機能性腺腫による視野の異常は、外側から徐々に視野が狭くなっていくこと、

視力矯正器具を装着しても見え方が改善しないことが特徴です。

脳腫瘍というものはゆっくりじっくり成長するので、

良性だからと言って放置すると全身に不可逆的な変化が起こったりする恐れもあります。

例えば、先端巨大症で顔立ちが変わってしまったり、手足が大きくなったり、

負荷がかかった他の器官に腫瘍ができたりなどなど。

ホルモン検査で下垂体腺腫の可能性を指摘されとしたら、

脳腫瘍全般からしてみると比較的幸運な方なのかもしれません。

参考サイトはこちら。

福岡脳神経外科病院

http://www.fukuokanh.jp/brain/detail/masterid/5/

昭和大学病院

http://www.showa-u.ac.jp/SUH/department/list/neurosug/explanation5/index.html

秋田県立循環器・脳脊髄センターです。

http://www.akita-noken.jp/pc/patient/disease/section21/id4204.php?type=

30代からの不妊治療や検査のことブログでつづる

30代不妊治療について思うこと。不妊治療を知り、妊活から体外受精や顕微授精についてまで、自分のペースで調べていきます。