不妊を引き起こす薬

薬剤性高プロラクチン血症⑤H2ブロッカーと不妊症

胃薬として市販薬で頒布されている薬剤の中にはH2受容体拮抗薬が多く含まれます。

「H2ブロッカー」という呼称がよく用いられます。

ありふれたお薬です。しかし、ありふれているから安全とは限りません、

H2ブロッカーは不妊症を引き起こします。

前回から引き続き、高プロラクチン血症を引き起こす胃潰瘍のお薬、

H2受容体拮抗薬の詳細から進めていきます。

●H2受容体遮断薬

シメチジン(タガメット):

胃壁の細胞上にあるヒスタミン受容体「H2受容体」でヒスタミンと拮抗し、

受容を阻害して胃酸分泌を抑え、胃潰瘍の治癒を目指すお薬です。

調べて見たところ、H2受容体拮抗薬のすべてが高プロラクチン血症の

原因になるわけではないようです。

市販薬のガスターなどは、臨床試験によって血中プロラクチン濃度に

影響を及ぼさないと結論付けられました。ただしこれは製薬会社側が出している

情報であって、血中プロラクチン濃度に影響しないとされている薬剤でも

基礎体温表に変化があった、二相性が奪われたなどとする患者側からの

訴えも報告されています。

シメチジンについては実際に十二指腸潰瘍の治療で高プロラクチン血症と

乳汁漏出が認められた症例がありますから、高プロラクチン血症との関連性は

疑う余地がありません。

エストロゲンの代謝阻害、プロラクチン分泌刺激などの副作用があって、

それによって薬剤性高プロラクチン血症、乳汁漏出が起こるものと考えられます。

不正出血や無月経などの可能性もあります。

ニザチジン(アシノン):

ロキサチジン(アルタット):

ニザチジン、ロキサチジンもシメチジンと同様のH2受容体拮抗薬として

シメチジンのレポートに名前が挙がっています。

岐阜県薬剤師会のレポートではそもそもH2受容体拮抗薬に

プロラクチン分泌作用がある、という記述がありました。

また、エストラジオールの代謝阻害作用、

アンドロゲン受容体拮抗作用=抗アンドロゲン作用があるので男性の女性化乳房、

勃起障害などの報告もあるとか。

副作用というか、基本性能の一部と言ってよさそうです。

ニザチジン、ロキサチジン、ファモチジンはシメチジンの後発成分の模様。

シメチジンで明らかになった重大な副作用の問題を解消すべく生まれた次世代の

H2ブロッカー、それがファモチジンなのだとか。

残念ですが、H2ブロッカーについてはこれ以上の情報が見つかりませんでした。

探し方がよくなかったのかもしれませんが、そもそもあまり公開されているデータが

ないような気がします。隠されているのかな?という印象さえ受けるほどに……。

●その他

クレボプリド(クラスト):

ドーパミンD2受容体拮抗薬で、心と身体の両側から働きかける作用を持つようです。

効能は吐き気の抑制、消化管運動の改善、ドーパミン受容体拮抗など。

お薬の情報サイトを見るに、神経性の胃痛、吐き気の改善を目的としたお薬ですね。

ドーパミン受容体拮抗薬であるからして当然ドーパミンの働きが抑制され、

プロラクチン分泌が亢進してしまいます。

製薬会社のレポートを鵜呑みにするのは危険かも?

インターネットという公の場で発言していい内容なのか迷いましたが言っちゃいます。

薬を売りたい製薬会社は「安全だよ」と言います。

しかし、安全の根拠は示されていません。それどころか、

別方向から出てくるわずかな手がかりが私たちに危険性を訴えかけてきます。

不妊治療を受けている女性のみなさまは、体調不良で病院を受診する際、

前もってレディスクリニックに相談してからにするなどの対策を講じるといいでしょう。

「まあ大丈夫でしょ」「私は大丈夫」「そんなに気にしなくていいわよね」

が一番危険です。

30代からの不妊治療や検査のことブログでつづる

30代不妊治療について思うこと。不妊治療を知り、妊活から体外受精や顕微授精についてまで、自分のペースで調べていきます。