抗精神病薬について

薬剤性高プロラクチン血症⑨抗精神病薬02

抗精神病薬について解説していきたいと思います。

今回は抗精神病薬の分類からです。

抗精神病薬は大きく「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」に分かれ、

さらに系統別に分類されます。

下部リストにある「ブチロフェノン系」「フェノチアジン系」「ベンスアミド系」は

いずれも定型抗精神病薬の類で、昔から使われてきたタイプです。

これらのお薬にはドーパミン抑制効果が認められており、

副作用が出やすいという問題がありました。

非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬の問題点を解消するため、

ホルモン物質のひとつ、セロトニンに注目して開発されたという経緯があります。

比較的新しい抗精神病薬はだいたいがこちらのタイプなのだそうです。

それでは、具体的にひとつひとつの薬剤にクローズアップしていきましょう。

クロルプロマジン(ウィンタミン、コントミン):

用途:統合失調症、躁病、神経症などの治療薬です。

ドーパミンの信号を遮断する作用によって脳神経の情報伝達機能を整え、

妄想、幻覚、幻聴、混乱、興奮といった症状をよく改善します。

副作用のサインは手足のふるえ、排尿困難、便秘や立ち眩み、動悸などです。

これらの副作用が現れた方には重度の副作用が起こる可能性があるので注意が必要です。

重度の副作用:悪性症候群、遅発性ジスキネジア・ジストニア、

重い不整脈・血液成分の異常、溶結性貧血、マヒ性イレウス、

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、SLE様症状、重症肝機能障害、

横紋筋融解症、静脈血栓症、肺塞栓症、錐体外路症状、高プロラクチン血症、

男性における女性化乳房、性機能障害などがあります。

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1171001.html

ゾテピン(ロドピン):

用途:統合失調症や気分障害の症状を改善するお薬です。

統合失調症だけでなく、幅広く精神障害の治療に用いられます。

こちらはドーパミン受容体だけでなく、セロトニン2受容体も阻害する

セロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA)、つまり、非定型抗精神病薬です。

副作用:飲み初めに立ち眩みを感じた方は危険性が高いかもしれません。

定型抗精神病薬に比べると副作用リスクは低いものの、やはり同様の注意が必要です。

「悪性症候群」「重い不整脈」「マヒ性イレウス」「けいれん発作」

「高プロラクチン血症」「無顆粒球症、白血球減少」「静脈血栓症、肺塞栓症」

「錐体外路症状」「性機能障害」「肝障害」「黄疸」などがあります。

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179024.html

チオリダジン(メレリル):

用途:統合失調症のお薬です。

気分を鎮める効果があるためうつ病、神経症にも用いられてきたものの、

こちらはすでに販売中止になっているそうです。

その理由は非常に重篤な副作用にあります。

副作用:最も危険な副作用は「突然死」です。

目的の効果と副作用のリスクを比較した結果、あえてこの薬剤を用いるメリットはない

として国内外で販売中止となりました。

ドーパミン受容体遮断薬ですので、当然高プロラクチン血症も副作用として起こります。

そのほか、悪性症候群、遅発性ジスキネジア、

重篤な不整脈、再生不良貧血、溶結性貧血、重篤な血液成分の異常、

マヒ性イレウス、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、重症肝障害、視覚障害、

錐体外路症状、性機能障害など。

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1172001.html

レボメプロマジン(ヒルナミン):

用途:主に統合失調症の治療薬として用いられます。

躁病、うつ病にも用いられます。脳神経の情報伝達機能を改善する効果があるため、

心が不安定な方の社会生活をサポートできるお薬です。不眠症傾向のある方にも有効です。ドーパミン受容体遮断薬であり、セロトニン、ノルアドレナリン系の神経にも

抑制的に働きます。

副作用:いずれ妊娠を考えている女性は高プロラクチン血症を引き起こす

可能性があるので、こちらの薬剤は避けるようにしましょう。

ここまでにご紹介したすべての抗精神病薬と同様です。

そのほかの副作用も似通っています。「悪性症候群」

「遅発性ジスキネジア・ジストニア」「重い不整脈」「重い血液成分の異常」

「マヒ性イレウス」「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群」

「SLE様症状」「目の障害」「横紋筋融解症」「静脈血栓症」

「肺塞栓症」などなど。命の危険もあるかもしれないと覚えておいてください。

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1172014.html

次回へ続きます。

● 精神神経用薬

・ 抗精神病薬

フェノチアジン系:クロルプロマジン、ゾテピン、チオリダジン、レボメプロマジン

ブチロフェノン系:チミペロン、ハロペリドール、ブロムペリドール

イミノジベンジル系:クロカプラミン、モサプラミン

ベンズアミド系:スルトプリド、スルピリド、ネモナプリド

その他:アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、ピモジド、ペロスピロン、リスペリドン

・ 抗うつ薬

三環系:イミプラミン(トフラニール)、クロミプラミン(アナフラニール)

四環系:マプロチリン(ルジオミール)

その他:トラゾドン(デジレル、レスリン)、パロキセチン(パキシル)、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、セルトラリン(ジェイゾロフト)

・ その他

エチゾラム(デパス)、チアプリド(グラマリール)、トフィソパム(グランダキシン)

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30代不妊治療について思うこと。不妊治療を知り、妊活から体外受精や顕微授精についてまで、自分のペースで調べていきます。