不妊症の原因でもある高プロラクチン血症
薬剤性高プロラクチン血症vol.10:抗精神病薬03
不妊症の原因のひとつである薬剤性高プロラクチン血症の解説、
それぞれのお薬編の続きです。
リストの次の段、ブチロフェノン系のお薬解説に突入します。
前回のレポートで気づきましたが、主な参考にしている薬剤師会のレポートは
結構古かったみたいですね。
すでに販売中止になっているお薬も含まれていましたから。
また、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬が混ざっているのも意外でした。
チミペロン(トロペロン)
用途:統合失調症、そう状態、夜間せん妄、強い不安感、緊張感、混乱状態を鎮めるお薬です。ドーパミン受容体遮断薬です。
精神疾患の症状は陽性症状と陰性症状に分かれますが、このお薬は陽性症状を抑え、
脳の働きを正常化します。定型抗精神病薬の一種です。
妄想や幻覚を抑える作用が強い反面、副作用も強く出やすいので注意が必要です。
副作用:持病がある方、アレルギー体質の方は必ず医師に伝え、
治療薬を選択するようにしましょう。妊娠中、妊活中の服用は禁忌です。
よくある副作用は「錐体外路症状」で、手のふるえ、身体のこわばり、
つっぱりなどが自覚症状として現れます。また、目のかすみや便秘も関連していますので、
このお薬を処方されたら体調の変化をよく観察するようにしてください。
「遅発性ジスキネジア」は、口周りの動きをうまくコントロールできなくなったり、
意図せずおかしな動きをし始めたり、舌の震えが続いたりする症状がサインです。
長期服用で出やすい副作用です。
「悪性症候群」は体が動かなくなったり、硬直したり、
飲食物を嚥下できなくなったりとさまざまな症状が合わさった副作用です。
意識障害や頻脈などもあります。
重い不整脈、重い血液成分の異常、マヒ性イレウス、無顆粒球症、白血球減少、
静脈血栓症、肺塞栓症、口の渇き、高プロラクチン血症による不妊症、
性機能障害、体重増加、排尿困難など。
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179026.html
ハロペリドール(セレネース)
用途:1957年に開発された由緒正しい定型抗精神病薬の一種です。
系統としてはチミペロンと同様で、統合失調症、そう状態、夜間せん妄、
強い不安感、緊張感、混乱状態を鎮めるドーパミン受容体遮断薬です。
妄想や幻覚をよく抑えます。このように古くから用いラテてきた標準的な安定剤を
「メジャートランキライザー」とも呼びます。
副作用:吐き気止めのお薬との併用は避けましょう。
また、三環系抗うつ薬との相性が悪いのでご注意ください。
主な副作用は「錐体外路症状」、女性に多い「遅発性ジスキネジア」「悪性症候群」、
その他、重い不整脈、重い血液成分の異常、マヒ性イレウス、
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、静脈血栓症、肺塞栓症、重い肝臓の症状、
口の渇き、高プロラクチン血症による不妊症、性機能障害、体重増加、発疹、
男性における女性化乳房、乳汁分泌、毛杖圧低下、動悸、立ち眩み、
排尿困難、鼻づまり、口の渇き、吐き気、食欲不振、食欲亢進など。
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179020.html
ブロムペリドール(インプロメン)
用途:統合失調症、そう状態、夜間せん妄、強い不安感、緊張感、
混乱状態を鎮めるドーパミン受容体遮断薬です。
チミペロン、ハロペリドールと同様の系統のお薬です。
ブチロフェノン系の抗精神病薬は妄想や幻覚を抑える効果が強い反面、
強い副作用の懸念があるのでご注意ください。
妊娠適齢期の女性は、特別な理由がない限りこのお薬を避けるようにした方がいいでしょう。
副作用:錐体外路症状が比較的多く見られる副作用で、
口の渇きや排尿困難、便秘、目のかすみ、立ち眩み、動悸などがサインです。
そのほかはほぼチミペロン、ハロペリドールと同様です。
「遅発性ジスキネジア」「悪性症候群」「重い不整脈」「マヒ性イレウス」
「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群」「横紋筋融解症」「無顆粒球症」
「白血球減少」「静脈血栓症」「肺塞栓症」「高プロラクチン血症による不妊症」
その他、眠気、めまい、吐き気、食欲不振、食欲亢進、血圧低下、生理不順、
体重増加、発疹など。
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179028.html
今回レポートした3種類のお薬はほとんど似たような内容でしたね。
精神障害に対する最も由緒正しい系統のお薬といったところでしょうか。
次回はイミノジベンジル系のレポートとなります。
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